未来図書

未来食堂の蔵書一覧。画集や写真集などの珍しい本を紹介しています。

原色小倉百人一首(文英堂)【黄色の本3】

先日は、男女の性を超越する 迫力ある女装写真集を紹介しましたが、今回は、時空を超越する古い古い歌集を持ってきました。

 

f:id:miraishokudo:20141127092057j:plain
原色小倉百人一首

 

小倉百人一首の詳しい解説本として有名な一冊です。 高校の古典授業の副読本として、使っていた方も多いかもしれませんね。

f:id:miraishokudo:20141127092058j:plain

 

舞台になっている風景の写真あるいは作者像、「(しのぶ)もぢずり石」「網代」「御幸」「衣打つ」などの風物、「さねかづら」「さしも草」「むぐら」など草花の写真が、一首ごとに充分に添えられ、和歌の世界を想像するのに非常に役立っています。
 風景写真は特に美しく、天の橋立、宇治川上賀茂神社の御手洗川など旅情をかきたてられます。
 作者紹介、作歌事情、時代背景の解説、文法的事項などは詳しすぎず、興醒めしない程度だと思います。
 文法の解説は、技巧的にその歌のどこが素晴らしいのかが簡潔でいてよく説明されています。31文字の歌の中に、序詞、縁語、掛詞、本歌取など多くのテクニックが凝らされていることがよく分かり、まるで暗号が解読されるようでなるほどと思います。確かに、選ばれた百首なのだと実感します。

Amazon.co.jp: 原色小倉百人一首―朗詠CDつき (シグマベスト): 鈴木 日出男, 依田 泰, 山口 慎一: 本

 

歌のモチーフとなった、風景や自然の写真も多く記載されています。

f:id:miraishokudo:20141127092059j:plain

f:id:miraishokudo:20141127092100j:plain

 

どの歌に詠まれた心情も非常に身近で『作者が 近くにいれば、きっと友だちになれたろうに』とつい錯覚してしまいます。千年たっても人の気持ちなんて変わらないものなのかな。

 

原色小倉百人一首

 

 高校の時はイヤイヤ暗記させられたものですが、大人になってから落ち着いて鑑賞すると、やっぱりしみじみ良いものですね。

※※ この本に似た作品にリンクします。お好きな次回を選んでください※※
■次回
今回は千年以上昔の日本を紹介しましたが、次回は戦前〜90年代の日本を記録した写真集を持ってきます。良くまとまっていて見応えがあります。次回もお楽しみに。

■次回
百人一首もいいですが、日本最古の歌集といえば万葉集。今回の本のように教科書の副読本的な真面目なものではなく、リミックスされた万葉集を持ってきます。太古の人々の感情も、ぐっと身近に感じられます。次回もお楽しみに。