この国の記憶―長野重一・写真の仕事【灰色の本2】
先日は、千年以上昔の人々の感情を記録した歌集を紹介しましたが、今回は戦前〜90年代の日本を記録した写真集を持ってきました。
時系列に白黒写真が収録されており、1945年の敗戦直後の様子から始まっています。
戦後の焼け跡、横丁のはなたれ小僧、日本経済の青春時代、高度経済成長のモーレツサラリーマン、安保と政治の季節、バブル経済の東京、そして現在…グラフジャーナリズムの旗手として、ドキュメンタリー写真家として、そして一人の日本人として、この国を見つめ続けてきたフォトジャーナリスト・長野重一の半世紀以上にわたる20世紀のクロニクルがここに完結。戦後から現在までが綴られた「記憶」に写るのは、この国を作りあげてきたあなた自身の姿でもある。珠玉のモノクローム作品、175点を収録。
写真に合わせて年代が載せてあるので、時代が追いやすいです。
なんといっても昭和の歴史をこの薄さでしっかり抑えている点が素晴らしいです。
こういった↓昭和の労働写真は良く見る図柄ではあるのですが、古本では如何せんその時代ばかりになってしまいます(アサヒグラフなどの昭和時代の月刊写真誌etc)
昭和のバブル、ヒッピー、団地、工場など様々なモチーフをバランスよく載せているのが本当に素晴らしい。良いです!
90年後半までが収録されています。
「ちょっと昭和の風景を見たいんだけどな」という方にオススメしたい一冊です。
昭和の文献は、建築/ファッション/文化/万博/工業 など多くの切り口があり、集めていると本が溜まりがちになるのが難点ですが、このコンパクト感は素晴らしいです。
※※ この本に似た作品にリンクします。お好きな次回を選んでください※※
■次回
そうは言ってもある時代だけを切り取った古雑誌もそれはそれで面白く…。次回は1955年発刊の写真誌、アサヒグラフを持ってきます。次回もお楽しみに。
■次回
歴史繋がりということで次回は、ラブドール(ダッチワイフ)の歴史を紐解く なんていかがでしょうか。次回もお楽しみに。
■次回
そうは言ってもこってりどっぷり昭和にハマりたい方のために…。次回は”これでもか”と昭和30年代ごろの建築を中心とした分厚い写真集を持ってきます。次回もお楽しみに。