たまゆら(神蔵美子)【緑色の本2】
先日は、肋骨を変形させてまで”女性らしさ”を獲得する下着、鋼鉄製コルセットのカタログを紹介しましたが、今回は、自分の性アイデンティティを変形させてまで”女性らしさ”を獲得する、異色な写真集を持ってきました。
メス化する男たち。赤塚不二夫、泉麻人、四方田犬彦ら著名人33人による女装写真集。文壇、論壇、学界、アート、…さまざまな分野で活躍する著名人。「自分の中に女を発見した」「こんなにいい女になるとは思わなかった」「女の人は大変だね」「これから僕は変わります」「お袋にそっくり!」など、多種多様の感想と溜息が溢れる撮影当日インタビューも同時掲載。
「こんな人まで!?」と驚くような各界の著名人が女装し撮影されています。
宮台真司さん
都築響一さん
誤解を恐れずに言えば、彼ら(モデルたち)は驚くほど美しく女性らしいです。
どうしてここまで”女性らしく”あるのか。
その理由を考えてみるに、彼らは一流の著名人であり、多くの”女性とは”に対する体験談や思いを持っているに違いありません。それらのイメージがまるで合わせ鏡のように彼らの表層に現れているからではないでしょうか。
泉麻人さん
深淵を覗きこむ我々を深淵がまた見返すように、観察者である私の中の”女性”を覗きこまれているような迫力があります。『僕はここまで”女性”を見抜いているよ』というメッセージが今にも聞こえるようです。
巻末のモデルたちの女装体験記は、短いながらも読み応えがありこれだけで1冊の本になりそうです。
ここまで”女性”は、私は、見抜かれている。
そのことに不思議な安堵を覚えつつ、いつしか自分の一部がコピーされ続けているような自己増殖の世界に浸りこむのでした。
※※ この本に似た作品にリンクします。お好きな次回を選んでください ※※
■次回
今回は、性を超えて分かり合える写真集を紹介しました。次回は”時空を超えて”分かり合える歌集、小倉百人一首を持ってきます。次回もお楽しみに。
■次回
ここまで凝った女装でなくても、世の中には様々な女装者がいます。次回はよりカジュアルに女装を楽しんでいる、同人女装誌を持ってきます。次回もお楽しみに。
■次回
”女性らしさ”はアートの世界でも大きなテーマとなっています。次回はそんな”女性らしさ”をテーマに国内外で活躍する、”やなぎみわ”さんの作品集を持ってきます。”女性らしさ”のグロテスクな側面も切り取った彼女の作品は迫力があります。次回もお楽しみに。