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未来図書

未来食堂の蔵書一覧。画集や写真集などの珍しい本を紹介しています。

見えない都市(河出文庫)【茶色の本4】

先日は、ここではないどこかの都市を切り取ったような、幻想的SF版画絵本を紹介しましたが、今回は、文字で読む幻想都市を持ってきました。

 

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見えない都市 (河出文庫)

 

現代イタリア文学を代表し、今も世界的に注目され続けている著者の名作。マルコ・ポーロフビライ汗の寵臣となって、さまざまな空想都市(巨大都市、無形都市など)の奇妙で不思議な報告を描く幻想小説の極致。

見えない都市 (河出文庫) 

 

文庫本を取り上げることはあまりありませんが、
この本は短篇集になっていて長くても6ページほど、
大抵は2ページという超短篇集です。

ご覧くださいこの短さ!

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短くても、文章の美しさには眼を見張るものがあります。
幻想的で気高く、読むだけで引きこまれます。

 

なかでも私が一番好きな箇所は、雄弁に語る二人はいつしか二人にしかわからない言葉を語り合いだし、そうしていつしか言葉すら不要になった空間の中で雄弁に語り合う、というくだりです。

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流石に名作だけあり、Amazonのレビューも名文ぞろいです。

マルコによって語り出され、またマルコによって長くても7,8ページ、短ければ1ページにも満たない長さで語り終えられてしまう、それぞれの街の来歴や光景。
これらエピソードの“短さ”が、魔術的な語り口―これは米川良夫の名訳に因るところも多いと思いますが―と相俟って、あたかも街々がマルコの語りの中で一抹の泡のように浮かび上がり、また弾けて消えるような淡く儚い印象を与えています。
しかし当の落下物より、それが水面に描き出す波紋の広がりの方が美しいのと同様、この『見えない都市』ほど、一つ一つのエピソードを読み終えた後の余韻に深く浸れる作品を、僕は他に知りません。
そして、これほどまでにページの余白が美しく感じられる作品も、また…。

Amazon.co.jp: 見えない都市 (河出文庫)の 股ファルコさんのレビュー 

 

小説は読むのに時間がかかるためあまり取り扱っていませんが
「見えない都市」は、5分でもいいから、読む価値があります。

 

見えない都市 (河出文庫)


※※ この本に似た作品にリンクします。お好きな次回を選んでください※※
■次回
魂の近い二人が語り合うことで異世界が開けていくといえば、親と子が紡ぐこの物語。
何気ない石ころや空き箱が、想像力豊かな二人によってワクワクする小道具に変身します。 

 

■次回
幻想短篇集といえば、押しも押されもせぬ、ミヒャエル・エンデ
”鏡のなかの鏡”です。