未来図書

未来食堂の蔵書一覧。画集や写真集などの珍しい本を紹介しています。

鏡のなかの鏡―迷宮【白色の本10】

先日は、親子を描いた漫画を紹介しましたが、今回は、親子で描いた傑作短篇集を持ってきました。

 

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鏡のなかの鏡―迷宮

 

「果てしない物語」でもお馴染みのミヒャエル・エンデの大人向け短篇集。
この短篇集の挿絵は、エンデのお父さんが描いています!

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鮮烈なイメージと豊かなストーリーで織りなされる30の連作短編集。一つずつ順番に、前話をゆがんだ鏡像のように映しだし、最後の話が最初の話へとつながって、読者をめくるめく意識の迷宮へと導く。人間存在の神秘と不可思議さを映し出す鏡の世界の物語は、『モモ』『はてしない物語』とならぶ、エンデの代表作である。

Amazon.co.jp: 鏡のなかの鏡―迷宮 (岩波現代文庫): ミヒャエル エンデ, Michael Ende, 丘沢 静也: 本

 

時代も国もわからない、シュールで幻想的な短篇集です。

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大勢の群衆が見守る中で、子どもの持つ強い思いがサーカスを成功させたり、大人と子どもが無言で手を繋いで何処かの果てに向かおうとしたり。物語はほとんど説明されないのに、エンデの深い思いが記述されていると感じる所が多々あります。

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この短篇集との初めての出会いは、小学校の図書館でした。
小学校の図書館のカラフルな単行本の中に、なぜかこの小さくて地味な本が紛れ込んでいました。
手にとって読んでみて(小さな文字に驚いた)その内容は理解できないものの、凄さは衝撃となって伝わりました。
帰り道で読みふけりながら横を歩く友達に薦めたものの、自分でも薦める語彙が見つからず…「とにかく凄いよ」としか言うことが出来ませんでした。

中盤に出てくる、老船長が独白する短編(最後から2番めかな)は、何度読んでも難しくてよく分かりませんでした。 

今は大人になり、こうやって珍しい本を集めるようになりましたが、この本との出会いが無ければ、今の読書遍歴は無かった事でしょう。

なぜ小学校図書館の本棚にこんな場違いな本があったのか。
今から考えてもあれは、未来の自分が小学生の自分に向けて本棚に置いたとしか考えられません。

カバーが付いていなくて、灰色の表紙でした。この岩波現代文庫ではないのですが、調べてみてもどの出版社から出ていたかよく分かりません。ほんとにあの本は何だったのか。

 

鏡のなかの鏡―迷宮

 


※※ この本に似た作品にリンクします。お好きな次回を選んでください ※※
■次回
エンデ父の描くシュールな挿絵も、色を添えています。次回もシュールレアリスムで有名なサルバドールダリの画集を持ってきます。次回もお楽しみに。


■次回
不思議な絵が織りなす短篇集。次回は文章も文字もない、空想力を掻き立てる絵本を持ってきます。次回もお楽しみに。