未来図書

未来食堂の蔵書一覧。画集や写真集などの珍しい本を紹介しています。

Twilight: Photographs by Gregory Crewdson【黒色の本5】

 
先日は、夢のワンシーン(悪夢?)のような、作りこんだ写真を紹介しましたが、今回は”作り込み”を全面に押し出した写真集を持ってきました。

 
Twilight: Photographs by Gregory Crewdson
 
Twilight: Photographs by Gregory Crewdson

 
あまり聞かない写真家ですが、個人的にはもっと注目されてもいい方だと思います。
Amazonではレビューが1件しかなく、しかもそれが星1だったので、「これはイカン」とレビューを追加しておきました。
 

作りこまれた写真が並びます。
摩訶不思議な物語が始まる瞬間のような、謎めいた写真たち。

他のレビューでは「統一されたストーリーが見当たらない」というメッセージもありました。
確かにその通りです。しかし、これはあくまで写真集。
写真集に、そこまで統一されたストーリーを求めることもないのかと思います。

そういった意味で、美術集や写真集だと意識して購入するほうが良いかと思います。
一枚一枚の謎めいた構図を見ながら、そこにある物語を空想する。。
とても良い、いつまでも飽きない写真集です。

 
写真が大きいのが良いですね。点数も多く楽しめます。
Twilight: Photographs by Gregory Crewdson

 
表紙の写真から、すでにぐっと掴まれてしまいます。
黄昏時が訪れるより僅かに前、浸水した部屋に横たわる美しい女性。死体のようにも放心しているようにも見える。電気はついている。部屋はすこし雑然としている。なぜ?

 
この写真集はある意味、一番”未来図書”らしい一冊かなと思います。
この写真集を知っている人はまだ出会ったことがなく、でも誰しもが一目見て心奪われます。写真集に興味が無い人も、SFに興味が無い人も、幻想・耽美系に興味が無い人も。

 
”え?CG?”と思うのですが、末尾にはメイキング写真も付いていて二度びっくり。全部作りこんだ写真なのです。

 
謎めいたワンシーンを差し出し、読者の想像を掻き立てる手法は、先日紹介した”文章のない絵本”と似ていますね。

 
Twilight: Photographs by Gregory Crewdson

 
■次回
物語の挿絵のような作りこまれた写真集を紹介しましたが、回は、実際に”夢”を舞台にした幻想的な映画作品を持ってきます。次回もお楽しみに。
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