未来図書

未来食堂の蔵書一覧。画集や写真集などの珍しい本を紹介しています。

グッドモーニング【ピンク色の本1】

 
ブログの始まりをイメージさせるような、というところで。
タイトルが清々しい、詩集『グッドモーニング』を持ってきました。
 
グッドモーニング

グッドモーニング

 
目にも鮮やかなピンクの表紙。
女の子が何かを懸命に祈っているような姿が、ピンクにまみれてハレーションを起こしているような感じに合わさりちょっと切ない。
 
最果タヒさんは詩の世界では結構有名な人のようです。
「タヒ」は一を付け加えると、死、にも見える。いわゆる詩人のようなエキセントリックでナイーブな方なのかなー、とあまりすすんで手に取る作家さんではありませんでした。

 
作品はこういう感じの、いわゆる「新しい詩の形」となっていて、私のような凡人には読むのが少し辛かったりする。だって意味が分からないのです。。

 
グッドモーニング

 
でも幾つか最果さんの作品を見る機会があり。分かったことは、彼女は「分かり合えるような作品は、違う」という強烈な思いを元に作品を生み出しているということ。詩以外の作品はまだ見たことがないのですが、”まともな”文章(=私のような凡人が分かる普通の文章)で書かれた作品の紹介などを見ると、実際は(?)ものすごく頭の良い人なんだろうなというのがバシバシ伝わってくる。
 
こんなに分かりやすくて斬新な表現の文章を書けるんだったらもっと見せてほしい!読みたい!と思うんだけれど、それは凡人だからかもしれない。

 
自分は、なんとなく良い、レベルの本は保管しません。
理解できないと言いながら、どうしてこのグッドモーニングは手元においているのか。それは”あとがき”にあります。
 
グッドモーニングのあとがき。これが本当に素晴らしいのです。
作品を作る上での最果さんの心境の変化を短く(ページ一枚)まとめているのだけれど、思春期のナイーブさから、平凡だけれども光ある世界に目を向けたきっかけや心境が鮮やかに表現されていて。
 
初めて読んだときは泣いたし、今も読むたびに心震えます。
私は凡庸で、おそらく作者の作品をスマートに楽しむ素養もありません。
でもこんなに鮮やかな文章を書ける人の作品は、細く長くでも、ずっと追い続けるのだろうと思います。

 
グッドモーニング

グッドモーニング

 
■次回
もう少し意味の分かりやすい、爽やかな詩集はいかがでしょうか。
若手詩人と写真家たちが作った、勢いのある詩集です。

■次回
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