未来図書

未来食堂の蔵書一覧。画集や写真集などの珍しい本を紹介しています。

フセイン・チャラヤン【白色の本11】

先日は、建築/音楽/ダンス/ファッションなど多くの要素を盛り込んだ伝説のアート映画を紹介しましたが、今回は、なかでもファッションをアートとして捉える作家、フセイン・チャラヤンの作品集を持ってきました。

 

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フセイン・チャラヤン

 

数ヶ月間地中に埋めたドレスという、衝撃的な卒業制作によって1994年にファッション・デビューを飾ったフセイン・チャラヤン。その後もコンセプチュアルな作品を発表し続け、アート、建築、デザインから哲学、人類学、科学まで複数の領域を横断しボーダレスに活躍。そのデビューからの軌跡を追い至高のクリエイションの全貌を明かした、本邦初のビジュアルブック。

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チャラヤンと言えば、一番有名な作品はデビュー作の『逸脱する流れ』です。 数ヶ月間地中に埋めることで腐敗したシルクドレスは大きな反響を呼んだとあります。

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私自身もチャラヤンという作家は全然聞いたことがありませんでしたが、この茶色いシルクドレスの写真を店頭で見た瞬間強く引きつけられ、こちらの本を慌てて買いました。 服飾アーティストは数多くいると思いますが、チャラヤンさんの作品は骨太の思想があると感じます。 単に奇抜なのでもなく、異素材を組み合わせるだけにとどまるでもなく。 『服とは何なのか』を訴えかける力強さに惹かれました。

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中でもオススメしたいのが、巻末のインタビュー部分です。

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(国立現代美術館の展示カタログだからか)日本人がインタビューをしていて、訳も非常に自然に仕上がっています。 芸術本はジャーゴンを多用して素人を煙に巻くような文章が多いと感じますが(特に巻末解説!)このインタビュー問答はそんな事はなく、チャラヤンの思想を分かりやすく垣間見せてくれます。

 

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単に美しさを問い続けるのではなく、建築などの多方面からお洋服を捉え直しているのが良いですね。

 

フセイン・チャラヤン


※※ この本に似た作品にリンクします。お好きな次回を選んでください ※※

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