うたたね - 川内倫子【白色の本6】
先日はカラッと晴れた生死感ただよう詩集を紹介しましたが、今回はそんな瞬間を写真にとどめた作品を持ってきました。
川内倫子さんは、有名な写真家です。この「うたたね」が初期の作品かと思います。
鯉、雲、カラス、カーテン…なにげない風景、ともすれば見落としてしまいそうな草花や小さな虫たちに目を向ける。ただ日常を撮りながらも、やさしさと隣り合わせに存在する怖さ、生と死を強く感じさせる写真集。
個人的には、海外の風景とか廃墟とか生物とか、いわゆる”カテゴリ分け”できるような明確なテーマがある写真集を買ってしまう傾向があるのですが、この、”うたたね”は買わずにはいられませんでした。
帯が良かったのは、かなり大きいです。
死んでしまうということ
”死んでしまうということ”というコピー通り、ささやかな日常に染み込むような死の気配をとらえた作品が並びます。
川内倫子さんの作品の特徴としては、
- ぼかし/ブレが強め
- 青の発色が細やか(みずみずしい)
- 揺れながら撮ったような、斜め配置
- 主だった主体がないか、主体がある場合は枠外にキレている
といったところでしょうか。専門用語は分からないのですが。
ここ数年、色んな大学の学園祭を見ていると、必ず二位人は”川内倫子さんぽい”写真を発表している感じですかね。はやりの作家さんなのでしょう。
私も好きだけれど、もう少しひねりが欲しいかな、とは思ったりもします。
■次回
川内倫子さんぽい写真集は多い、とは言いましたが、そんな中にも目を見張る作品があります。次回はそんな作品集を持ってきます。次回もお楽しみに。
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