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未来図書

未来食堂の蔵書一覧。画集や写真集などの珍しい本を紹介しています。

やなぎみわ―マイ・グランドマザーズ【黒色の本4】

 
こんにちは。
先日は大正時代の女性誌を紹介させて頂きました。いつの時代も女性性に取り囲まれる女性たち(私含め)。今回はそんな、”女性のねじれたアイデンティティのあり方”を作品にした、写真集を持ってきました。

 
やなぎみわ―マイ・グランドマザーズ
 
やなぎみわ―マイ・グランドマザーズ

 

1990年代半ばから、デパートのエレベーターガールや案内嬢など出口のない閉鎖的空間に閉じこめられた女性の日常を、CGを用いた巨大な写真作品で表現し注目を集める。
東京都写真美術館および国立国際美術館で開催される展覧会公式カタログである本書では、若い女性が自らの半世紀後の姿を特殊メイクやCGを用いて演じた〈マイ・グランドマザーズ〉に焦点を当てるとともに、〈エレベーター・ガール〉や〈フェアリー・テール〉など、全72点を掲載。

 
〈エレベーター・ガール〉はこちらの作品ですね。
やなぎみわ―マイ・グランドマザーズ

 
ネットには〈エレベーター・ガール〉ばかりが流れているように見えますが、〈マイ・グランドマザーズ〉は、醜悪さでは更に上を行く作品です。
やなぎみわ―マイ・グランドマザーズ

 
やなぎみわさんの作品の多くは、特殊メイクをして老婆に化けているものです。写真もある程度大きいので、”醜い”作り込みをしげしげと眺めいってしまいます。
やなぎみわ―マイ・グランドマザーズ

 
これらの老婆は、”こんな老後を迎えたい”というインタビューをもとに本人が加工されたものだとか。男性から10代まで、幅広い人間の欲望を叶えた作品です。
 
やなぎみわさんの異様な作品に惹かれた当時、国内ではまだ出版がなく、海外出版のこの作品集を持っていたのですが、今回の”マイ・グランドマザーズ”があまりに出来が素晴らしかったので、買い直した経緯があります。たしか原美術館で個展をされていた頃でしょうか。
 
この”マイ・グランドマザーズ”は、歴代の作品シリーズを纏めているので、かなり見応えがあり読み応えもあります。これが3000円以下とはホントにお得!

 
分かりやすいくらいに女性性を扱っていても陳腐でないのは、この作り込みの確かさでしょうか。

 
Amazonにもレビューが有りました。

かなり異質な写真集である。

私自身は、やなぎみわさんという方とその作品を朝日新聞の記事で知り、そこに載っていた小さな、けれどインパクトのある写真に大いに興味をひかれ、展覧会を見に行きたかったのだが都合でかなわなかった。それで写真集を探したわけだが、これが結構お高い(汗)。手ごろだったのがこの本である。

買って損はなかった。年老いた方のいい年輪を刻んだ表情を撮った写真集というのは結構あるが、本書はそうではない。逆にかえって醜悪な部分を強調するかのような作品群なのだが、なぜか目が離せない。少女との組み合わせの作品も「年はとりたくないね」と思わせない、静かな迫力がある。添えてある文もなかなかのもの。

私はマグリットのファンで、どこがとはっきり言葉にはならないのだが、相通ずるものがあるような気がする。
永遠の少女だった森茉莉のシュールさとも、どこか似ている。


”私はマグリットのファンで、どこがとはっきり言葉にはならないのだが、相通ずるものがあるような気がする”
ふーむ。どこか異世界な感じがそう思わせるのかな? 森茉莉の”乙女おばあちゃん”な感じは理解できるのですが。
せっかくですから、次はマグリットを持ってきましょうか。

 
やなぎみわ―マイ・グランドマザーズ

 
■次回
やなぎみわの作品を見て、マグリットを連想する方もいらっしゃるよう。せっかくですので次回はマグリットを持ってきます。次回もお楽しみに。
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