未来図書

未来食堂の蔵書一覧。画集や写真集などの珍しい本を紹介しています。

バブルの肖像 都築響一【白色の本5】

 
先日は "東洋一の無法地帯" とも呼ばれた植民地時代の遺物、九龍城砦を紹介しましたが、今回は ”時代の遺物” 繋がりで、日本の”失われた時代”を切り取った写真集を持ってきました。

 
バブルの肖像 都築響一
 
バブルの肖像

 
国内サブカルを取り上げたら名実共にNo1の都築響一さん。Amazonにも多数レビューがありました。 

日本中が夢におぼれ、欲に踊った遠い日々を振り返る、初のグラフィック・ヒストリー。『週刊朝日』の人気連載、待望の単行本化。


 

ことさらにふりかぶって断罪するでもなく、かといってバカにするのでもなければ美化するでもなく、非常にバランスの取れたスタンスでバブル時代のあれやこれや(ジュリアナやら一億の金塊[140%に増やしたというエピソード面白かった!]やらザウスやらハウステンボスやら高級ホテルやら夜遊びやら……)を回想しつつめでていくといった本。扱っている対象が、批判することが簡単なものばかりなので、うっかり紋切り型で批判してしまいそうなものですが、そういうのをうまく避けて、きっちり自分のことばで書いているのが好感が持てる。あえて大上段で批判しなくても醜悪なものの醜悪さは自然に滲み出ているし。「ピンドンコン」とか(この写真の醜悪さはすごい)。写真もナイスなもの多し。


 
ほんとに、都築響一さんは、醜悪なものを醜悪なまま撮影することがすごく上手いですよね。
バブルの肖像 都築響一

 
その時代の背景まで詳しく記されていて、記事としても読み応えがあります。
バブルの肖像 都築響一

 
ここまでバブルに関するあれこれを集積できたのも、まさにバブル時代に活躍したプロデューサーだったからでしょうか。

 
写真の点数も多く、お買い得感もさすがの都築本です。
バブルの肖像 都築響一

 
バブルの肖像

 
個人的には、夜な夜なクラブに繰り出して遊ぶことも多いので、”バブルってこんな感じだったんだろうな”と仄かな鱗片を嗅ぎ取ることも、たまにあります。一度は体験してみたかったですね。

 
■次回
嬉し恥ずかしバブルの時代、少し昔のあの時代。次回は”うんと昔のあの時代”、大正時代の女性誌を持ってきます。次回もお楽しみに。
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