未来図書

未来食堂の蔵書一覧。画集や写真集などの珍しい本を紹介しています。

ぼくんち (ビッグコミックス)【水色の本1】

 
先日は、心暖まる童話を紹介しましたが、今回は、”心が暖まる”繋がりで、大人向けの童話を持ってきました。

 
ぼくんち (ビッグコミックス)
 
ぼくんち (ビッグコミックス)

 
作者の西原理恵子さんは、麻雀放浪記などでも有名な漫画家ですね。
個人的には、西原さんの絵や文字はちょっと見辛いので、あまり好きではないのですが、この”ぼくんち”は内容の深さが突出しています。
 
Amazonにもレビューがありました。46件レビューで5.0。かなりの高得点です。

「ぼくのすんでいるところは―/山と海しかない しずかな町で―/はしに行くとどんどん貧乏になる。/そのいちばん はしっこが/ぼくの家だ―」。腹違いの兄、一太。突然現れた、美しくてやさしい年の離れた姉、神子(かのこ)。そして「ぼく」、二太。クスリを売る。体を売る。金を貸す。とりたてる。この町の多くの大人たちは、そんなふうにして生きている。むき出しの現実を見ながら、幼い心にいくつもの決意を刻んで「ぼく」は成長していく。

 
内容は白黒で、1ページ1話。ゆるやかに話が進んでいきます。
ぼくんち (ビッグコミックス)

 
ちょっと雑に感じる絵も、物語に”味”を添えています。
ぼくんち (ビッグコミックス)
 
登場人物は皆、底辺で生きていて、それぞれ不幸せな部分を持っています。そんな泥水で、でも美しく咲く蓮の花のような、一筋の美しさがピカリと光る漫画です。
ぼくんち (ビッグコミックス)

 
改めて読み返すと、少し偽悪的過ぎるきらいもありますが、後年の作品はもっともっと偽悪的になりすぎていることを考えると(パーマネント野ばらとか)、”ぼくんち”はまだバランスが取れているかなと思います。
 
ぼくんち (ビッグコミックス)

 
■次回
”ぼくのすんでいるところは―/山と海しかない しずかな町”。良いですね。次回はそんなしずかな町の路地裏をテーマにした写真集を持ってきます。次回もお楽しみに。
→次へ進む