未来図書

未来食堂の蔵書一覧。画集や写真集などの珍しい本を紹介しています。

金曜日の砂糖ちゃん【白色の本2】

 
先日は少女が大人の女性になるまでの短く鮮やかな瞬間、心情を描き切った太宰治の”女生徒”を紹介しましたが、今回は”少女の短い永遠”繋がりで可愛らしい絵本を持ってきました。

 
金曜日の砂糖ちゃん
 
金曜日の砂糖ちゃん (Luna Park Books)

 
Amazonでも24人レビューで5.0。驚異的な高評価です(だいたいこういうコアな本って評価が揺れがちになる傾向が)。
 

知らない道を通って帰ると、ぽっかりひろがった野原に出くわした。木の下には音の出ないオルガン。それでも蝶やバッタがやってきた…。子どもが一人でいる時間を幻想とリアリズムの狭間で鮮やかに描き出す絵画的絵本。

 
酒井駒子さんは、子供の絵を書くので有名な画家さんですね。他にも、子供の絵で有名なところでは奈良美智(ならよしとも)さんでしょうか。
 
私は特別”子供/動物の愛らしさ”というのは感じない性格なのですが、この本は装丁の美しさに惹かれて買いました。

 
全面カラーで、短い短編がいくつか入っています。子供でも楽しめる本です。
金曜日の砂糖ちゃん

 
表題作の”金曜日の砂糖ちゃん”はラストシーンが白眉。夜中にこっそりと起きだした幼い子供は母親のシュミーズを着て、そしてそのまま帰ってこない、というラストです。
金曜日の砂糖ちゃん

 
ただの子供の冒険綺譚と見れば微笑ましい話だと思います。ですが”シュミーズ”をきて”夜”に失踪するというところに、個人的には女性性を獲得し(てしまっ)た幼い子どもの姿を垣間見てしまいます。
でも、そんな難しいところは抜きにしても、女子受けもいいデザインですし、お子さんのいるママ友にはピッタリの絵本かもしれません。
 
金曜日の砂糖ちゃん (Luna Park Books)

 
■次回
女の子はシュミーズを着て夜の街を徘徊する。次回はどうしましょう。”オシャレは女性だけの楽しみじゃない”として女装専門雑誌を持ってくるか、砂糖ちゃんが彷徨うであろう夜の街を写した写真集を持ってくるか。”短い永遠”繋がりでこのフレーズで有名な漫画を持ってくるか。悩むところですが、うーん、写真集にしようかな。次回もお楽しみに。
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